「また今年も、予防接種の時期が来てしまった……」
病院からのお知らせを見るだけで、ため息が出る。
わが家にとって娘の予防接種は、注射を1本打って終わるようなものではなかった。
娘は赤ちゃんのころから注射が大の苦手。3歳ごろからは泣くだけでなく、逃げる、蹴る、全身をよじる。小学4年生ごろまでは、医師や看護師さんたちに協力してもらい、大人6人がかりで接種したこともある。
「しつけが悪いと思われているかもしれない」
「こんなに怖がっているのに、受けさせていいのだろうか」
毎年、そんな迷いと罪悪感でいっぱいだった。
ところが、その娘が小学6年生になると、誰にも押さえられず、一人で予防接種を受けられるようになった。
※これは、わが家の一例です。接種の必要性や安全な受け方は、お子さんの状態に合わせて医師や医療機関へ相談してください。
ADHDの娘にとって、予防接種は大きな壁だった

赤ちゃんのころから待合室に響くほど泣いた
娘は赤ちゃんのころから、予防接種のたびに大泣きした。
注射を打つ前から泣き始め、終わってもなかなか止まらない。待合室に響く声と周囲の視線が気になり、私は小さくなりながら、そそくさと病院を出た。
娘もぐったり。私もぐったり。
帰るころには、親子そろってHPゼロだった。
3歳ごろから「泣く」だけではなくなった
3歳を過ぎるころには、抵抗がさらに激しくなった。
逃げようとする。腕を隠す。手足をバタバタさせる。体をねじって、どうにか注射から逃れようとする。
もともと規格外のデカイ体格の娘が、注射のときは、さらに火事場の馬鹿力を発揮する。成長するほど力も強くなり、私一人では安全に支えられなくなっていった。
小学4年生ごろまで、大人6人に助けてもらった

事前に医療機関へ事情を伝えていたため、看護師さんが総出でスタンバイしてくれていました。
取り押さえ人数6人!!
娘は、わがままで暴れていたのではない。
怖くて、逃げたくて、必死だったのだと思う。
頭ではそう分かっていても、押さえられて泣く娘を見るのはつらかった。
「ここまでして受けさせるべきなのかな」
毎回迷いながら、その都度、医療機関と相談して乗り切っていた。
注射嫌いの娘のために試した3つのこと

1.終わった後のご褒美を用意した
3歳ごろから小学4年生まで続けたのが、ご褒美作戦だった。
幼いころはアンパンマングッズ。少し大きくなるとプリキュアグッズ。
娘の成長に合わせて、ご褒美の価格まで順調に成長した(笑)。
でも、成長するにつれて「あのご褒美、もらえるの!?」と言わんばかりに、視線はご褒美へ。
泣き声は全力。でも、ご褒美チェックは忘れない(笑)。
もちろん、ご褒美だけで注射への恐怖が消えるわけではない。それでも娘にとって、「終わったら楽しみが待っている」という約束は、その日を乗り切るための支えになっていたと思う。
「物で釣るのはよくないのでは」と悩んだこともある。
けれど、完璧な子育てを目指して親子で倒れるより、使える方法を使って今日を乗り切る。それが、わが家には必要でした。
頑張ったご褒美に、アンパンマンのぬいぐるみ♪
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2.予約の段階で病院に相談した
予約時には、娘が注射を非常に怖がることや、泣いたり激しく動いたりする可能性があることを伝えた。
何も伝えず当日を迎えるより、医療スタッフに事情を知ってもらっているだけで、私の緊張も少し和らいだ。
医療機関によって対応は異なるが、事前に次のようなことを相談しておくとよいかもしれない。
注射が怖い子にとって、待ち時間は恐怖をじっくり育てる「熟成タイム」になりやすい。短くできるなら、それに越したことはない。
なお、子どもの体を押さえる必要がある場合も、保護者だけで判断せず、必ず医療スタッフの指示に従うことが大切です◎
3.親だけで抱えず、地域の支援を頼った
弟が生まれてからは、娘の予防接種への付き添いと赤ちゃんのお世話を、私一人でこなすのが難しくなった。
そこで利用したのが、地域のファミリーサポートセンターだった。予防接種の付き添いをお願いしました。
「親なのだから、一人で何とかしなければ」と思い込みがちだが、そんな決まりはない。
付き添ってもらえるだけで、とっても気持ちが楽になりました◎
利用できる支援や条件、料金は自治体によって異なるため、住んでいる地域の窓口や公式サイトで確認してみて下さい。
小学5年生、「早く打て!」に見えた成長

小学5年生になると、娘の抵抗に少しずつ変化が出てきた。
相変わらず泣く。叫ぶ。体にも力が入る。
それでも、大勢に支えてもらう必要はなくなり、私一人の付き添いで接種できるようになった。
ある日、注射を準備する先生に、娘は泣きながら叫んだ。
「早く打て!」
「早く打てって!」
先生に命令する小学生。私は診察室に穴があれば入りたかった。
けれど、よく考えると、これは娘なりの大きな変化だった。
以前は、暴れることでしか表せなかった恐怖を、「待つのが怖いから、早く終わらせて」と言葉で伝えられるようになったのだ。言い方はずいぶん勇ましかったけれど、娘は娘なりに前へ進んでいた👍
小学6年生、親友のドヤ顔が背中を押した

転機は、同じように注射が苦手で6人に取り押さえられながら予防接種を受けていた親友のひと言だった。
「私、一人で予防接種できた」
会ったときにドヤ顔でそう話す親友に、負けず嫌いの娘は「なんですと!?」という顔に。
そして、小学6年生の予防接種。娘は泣かず、誰にも押さえられず、一人で受けられた。
「えっ、本当にもう打った?」
あっけなく終わり、私のほうが拍子抜けした。先生も看護師さんも、驚いた顔をしていた。
大人6人に協力してもらっていたころには、想像もできなかった姿。親の何年分もの説得より、親友のドヤ顔が効いたらしい。
ちなみにご褒美は・・・推しのラインスタンプになりました(安くなって良かったw)
今、子どもの予防接種に悩んでいる親御さんへ

予防接種で泣く。逃げる。暴れる。
その姿を見ると、「私のしつけが悪かったのかな」「周りに迷惑をかけている」と、自分を責めたくなるかもしれない。
けれど、強い恐怖の表し方や、気持ちを切り替えるまでに必要な時間は、子どもによって違う。
今年できなかったことが、来年もできないとは限らない。
大人から見れば小さな変化でも、本人にとっては大きな一歩かもしれない。
ご褒美を使ってもいい。医療機関へ何度相談してもいい。家族や地域の支援を頼ってもいい。
親子だけの「根性一本勝負」にしなくていいのだ。
わが家の娘は、一人で受けられるようになるまで長い時間がかかった。それでも、できる日は来た。
焦らず、安全を最優先にしながら、その年、その子に合った方法を医療機関と一緒に探していけたらと思う。
今できなくても、ずっとできないとは限らない。
焦らず、比べず、安全第一。その子のペースでいこう。


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